名古屋広告業協会会員によるリレーエッセイです。
2013年11月29日公開
第1回 甘いか痛いか、これからの名古屋をミツバチと考えています
この度、名古屋広告業協会HPリニューアルに際して、リレーエッセイ初執筆の誉れに浴することとなり光栄です。
記念すべき口切りなのに乱筆乱文お許しください。
三晃社で30年近くクリエイティブに携わっていて、名広協でもクリエイティブ委員会副委員長を担わせていただいている私ですが、「三晃社クリエイティブの松良」というよりも「ミツバチの」と言った方が近頃は通りがよいようです。
ご存じない方のためお話します。2010年名古屋では国連の会議「生物多様性条約第10回締約国会議」が開かれました。 あの地球温暖化防止の取り決めをした京都議定書の会議と同様に国際ルールを作る重要な会議でした。 (盛り上がりは低かったと思いますが)その際に名古屋を本社とする広告会社として何らかの関与をすべきではと経営陣に提言したのが、自社ビル屋上での養蜂、即ち都市養蜂です。 名称は「マルハチプロジェクト」。 「丸の内でミツバチを飼う」と「名古屋の市章」のダブルミーニングです。 「広告会社が養蜂?」と一蹴されると思っていたらほぼ快諾。 生物多様性のもっともわかりやすい例であり、食や農にも密接に関係するミツバチ。 それを取り扱うことがこれからの社会や企業には不可欠。 こんなコンセプトを是とする我社の先見性は健在!と思ったわけですが、ネーミングのわかりやすさも寄与していたのかもしれません。
都市養蜂の先達としては「銀座ミツバチプロジェクト」が有名です。 2006年からスタートで歴史があります。しかもハチミツもたくさん採れる。 年間数百kg、本年はなんと1トンを超えたとか!蜜源は皇居で、まさに「ロイヤル・ハニー」です。 ここのキーマン、田中副理事長には当初「名古屋の変わり者」と言われましたが、私から言わせれば田中さんこそ「銀座の変人」。 大手製紙会社が親会社の紙パルプ会館という会社の取締役でありながらミツバチがらみで東奔西走、NHKやCNNだけでなくアルジャジーラからも取材を受け、国内はもとよりパリやシベリアにも行かれてます。
そんな田中さんに助言をいただきながら始めたマルハチプロジェクトですが、具体的には弊社所有のビル屋上にミツバチの巣箱を置いて世話をしてハチミツを収穫しています。 ハチミツの生産だけでなく、地域の子供たちに巣箱の見学をしてもらうなど社会的な活動もしています。 クリエイティブ研究会で来名したクリエーター・オブ・ザイヤーの受賞者にも何人か見学いただき意外性に驚いていただきました。
初年度はメディアにも結構取り上げていただいて、洋菓子、和菓子などコラボ商品も作りました。 そもそも街中で採れるの?とお思いでしょうが銀座ほどではないですが意外と採れます。 味も好評です。老舗デパートのハチミツ専門店でも扱ってもらっています。 ただ、3年目の今年は気候のせいなのか採蜜量は芳しくなく、卸せなかったのでしばらく品切れになると思います。 すでにご贔屓なら来年夏ごろまでお待ちください。
名古屋には他にも何カ所か都市養蜂を実践している団体があります。 互いに連携を取りながら活動を行っています。3.11以降には「銀座ミツバチプロジェクト」や他の団体と協力しながら東北の支援も行ないました。 本業との係わりはまだまだですが、命の源である食べ物、農作物などに関係のあるミツバチを媒介に、持続可能な社会を目指し、行政や企業の方々とともに次代を担う子どもたちへ住みよい地域、地球を引き継ぐ取り組みの一助となればと思っています。 もちろんハチミツ本来の甘さに少しスパイシーにクリエイティビィティを効かせて。