名古屋広告業協会会員によるリレーエッセイです。
2016年4月13日公開
第21回「LGBT」って、知ってる?
昨今様々なメディアで「LGBT」って言葉を見かけたり聞いたりしませんか?
「セクシャル・マイノリティー」と呼ばれる人々が、今、注目されるのは何故なのでしょうか。ご存知の方も多いとは思いますが、Lは「レズビアン」、Gは「ゲイ」、Bは「バイセクシャル」、Tは「トランスジェンダー」の頭文字をとって、「LGBT」。
電通ダイバーシティラボの調査によると人口の約7.6%が「LGBT」と推定されています。7.6%もいるならばあなたの周りにもいるはずですが、実際に「LGBT」の友人がいるかと知り合いに聞いてみても「Yes」と答える人はわずかでしょう。今の日本の社会において、まだまだ「カムアウト」する環境が整備されていないということなのでしょう。
人口減少、少子高齢化という社会現象の中、一人一人の生産性をどう向上させていくのか。その為に女性の積極的な社会参画をはじめ、様々な「ダイバーシティ」への取り組み、マイノリティーの人々が自由に自分らしく、生き生きと働き、暮らせる環境づくりがとても重要な課題になってきています。スポーツ観戦やショッピング、クールジャパンコンテンツ等を求めて、海外から押し寄せる外国人観光客に対するホスピタリティという観点からも、「LGBT」への取り組みは活性化しているのかもしれません。
リチャード・フロリダ氏の「クリエーティブ資本論」を読むと都市が繁栄する条件として、3つの「T」を指摘しています。才能「Talent」・技術「Technology」・寛容性「Tolerance」の3つの要素を兼ね備えていることが必須条件であると。その仮説を検証する過程で、都市のクリエーティビティを測る指数である「クリエーティブ指数」が都市における同性愛者の割合を測定する指数である「ゲイ指数」と強い相関関係にあることをフロリダ氏は指摘しています。つまり、「マイノリティー」である彼らが住みやすいということが、その都市が多様性や開放性を備えている証であり、都市の繁栄に貢献しているというのです。「寛容性」を兼ね備えた都市がクリエーティブな人材を惹きつけ、彼らが繁栄に貢献するというのです。
将来、人間の行う仕事は「クリエーティブな領域」が主になると言われています。
ここ名古屋を中心とする愛知県の「ものづくり」産業にもクリエーティブの感性は必要不可欠です。この地域が更にイノベーティブな社会になっていくためにも、多様性を受け入れる「寛容性」という視点での街づくりや自治体、企業の様々な取り組みが必要な時代になってくるのだと思います。