名古屋広告業協会会員によるリレーエッセイです。
2019年5月10日公開
第46回「来夏に迫ったTOKYO2020」
皆さま、始めまして。三晃社の吉野取締役からバトンを引き継ぎました博報堂DYメディアパートナーズの高橋です。正しく申し上げますと、吉野取締役からバトンを引き継いだ弊社支社長の井上からキラーパスが飛んできた…高橋です。
中部支社に着任して2年が経過しましたが、まだご挨拶出来ていない方も多数いらっしゃると思いますが宜しくお願い致します。また、吉野取締役のエッセイから時間が経ってしまい申し訳ありません。
何を書くか迷いましたが支社長とも相談し、私が今関わっているTOKYO2020オリンピック・パラリンピック業務について少し書かせて頂きます。
今から約27年前の1992年の5月、バルセロナオリンピックの自転車競技の強化指定選手であった私はオリンピック出場を賭け、小田原競輪場で行われていた全日本選手権に出場したものの5位と惨敗。オリンピック出場という目標は叶わぬまま競技生活を終えることになりました。それから約27年が経過、私は別の形でオリンピックに関わる機会※を得て、今取り組んでいます。
※現時点に於いてはTOKYO2020本大会ではなく、あくまでも本番前に行われるテストイベント「READY STEADY TOKYO」の実施に向けた計画立案及び計画支援業務を行っています。
バルセロナオリンピック時の強化選手認定証。結局出場出来ませんでしたが…。
選手としての目標が絶たれて以来、オリンピックは4年に一度、観るスポーツとなっていましたが、昨年の春先、弊社グループの広告事業会社である博報堂が自転車競技の運営のお手伝いをするらしい、という話を耳にしました。大学を卒業して以来、ロードバイク含め競技用の自転車に乗ることは一度もありませんでしたが、自転車競技を普及させたいという思いはあり、さいたま市で行われている「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」などは、私が中部支社に着任する前の部署でも、キー局を巻き込んで放送を実施するなど、興味を持って関わっていました。
そういう事もあり、弊社グループがオリンピックに関わる業務を受託した。しかもその一つが自転車競技という話を聞き、何とか関わることが出来ないだろうかと考えていました。ですが、同じグループ内ではあるとはいえ別会社、しかも中部支社に着任していたこともあり、現実的には難しいだろうと思っていました。一方、博報堂側でも自転車競技に知見のある人材を探していたこともあり、数少ない自転車競技経験者である私の名前があがり、ニーズが一致。支社長からも、オリンピックの業務に関われるのは貴重な経験だからと快諾を得たこともあり、名古屋と東京、会社も跨いでの複属が決定し、TOKYO2020オリンピック・パラリンピック業務に携わる機会に恵まれました。
日本ではマイナースポーツの自転車競技ですが、ヨーロッパでは人気スポーツであり、オリンピックとサッカーのワールドカップ、自転車のツール・ド・フランスが一般的には世界三大スポーツと言われています。また、オリンピックでも1896年の第一回アテネオリンピックから正式種目として採用され、以来一度も途切れることなく実施されている数少ない競技となっています。
オリンピックで行われる自転車競技は大きく分けてロードレース、トラックレース、マウンテンバイク、BMXの4競技。この内、弊社グループが業務支援を行うのはBMXを除く3競技。その中で私はトラックレースの選手だったこともあり、静岡県伊豆市修善寺で行われるトラックレースとマウンテンバイクの責任者として関わることになりました。
昨年のツール・ド・フランス第5ステージのスタート地点となったロリアンの街。スタート地点に選ばれた街はお祭り騒ぎ。朝早くからたくさんの人が集まります。
現在は今年10月に開催されるマウンテンバイクのテストイベントの実施運営計画業務を中心に週に1~2回程度、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会との打ち合わせを行っていますが、その打ち合わせなどを通じて感じることはやはりその圧倒的な規模の大きさです。
私自身、広告会社の媒体担当という立場では数多くのスポーツイベントを経験してきましたが、関わる人や組織の数、国際色豊かな面々、また、会議体やオリンピック・パラリンピックならではの様々な制約に日々驚かされるとともに、世界最大のスポーツイベントを実施することの難しさを実感しています。
組織委員会の中には、宿泊や飲食、輸送、セレモニーやアクレディテーションなど、50を超えるFA(ファンクショナルエリア)と呼ばれる担当部署があります。それぞれの部署には競技別に複数の担当者が在籍し、通常、打ち合わせはテストイベントをマネジメントするFAとその日の打ち合わせの目的、内容に対応するFA、そして我々博報堂で行っています。
それぞれのFAは担当する役割により分けられていますが、打ち合わせや計画を進めていくと、これはどのFAの管轄?というグレーゾーンも現れます。予算にも関係するためナーバスな課題にもなりますが、そういうことも組織の大きさ、規模の大きさを感じるところであり、課題を調整しながら業務を進めて行くのも我々の役割となっています。
また、打ち合わせは通常10~30名程度で行うことが多いのですが、時には数十名~百名規模となることもあり、また英語で行われる会議も多く、通訳が入るとは言え英語力の乏しい私は悔しい思いをしています。
そんなことを繰り返しながら、TOKYO2020のテストイベントの支援業務に携わって1年が経過しました。担当するマウンテンバイクのテストイベントまで5ヶ月を切った中、やるべきことはまだまだ山積していますが、まずは10月のテストイベントの計画支援業務を滞りなく推進し、オリンピック・パラリンピックの本大会まで関われるよう、しっかりと取り組んで参りたいと思います。
また、現在は複属先である博報堂TOKYO2020推進室の一員としてこの業務に取り組んでいます。この先、テストイベントの実施業務のお手伝いが決まると会場での実働も始まります。その時はオリ・パラ業務という貴重な機会を中部支社所属員にも可能な限り経験させることが中部支社の部門長としての私の役目だと思っています。
TOKYO2020オリンピック・パラリンピックの開催も来夏に迫り、チケットの販売も始まりました。修善寺は名古屋に一番近いオリンピック会場だと思います。また、富士スピードウェイがゴールになるロードレースは無料で観戦可能な場所も多くあります。
是非、皆さんも来年の夏、修善寺、もしくは御殿場方面に自転車競技の応援にお越し下さい。会場でお待ちしています!
オリンピック・パラリンピックのトラック競技が行われる伊豆ベロドローム。