リレーエッセイ

名古屋広告業協会会員によるリレーエッセイです。

2021年3月26日公開
第55回「名古屋は「文化の交差点」」

電通名鉄コミュニケーションズ齊戸です。
このたび、東急エージェンシー名古屋支社、原田支社長よりリレーエッセイのバトンをいただきました。 私も豊田市の片田舎で育ち、原田支社長は隣の中学で、高校も偶然ですが隣の高校の2コ先輩になります。 ただ、在学中は一切、接点がなく、ある日、「丸の内」の鉄板焼きで初めてお会いして以来、よくしていただいております。
名古屋広告業協会のリレーエッセイということですので、「名古屋」について私の考えをお話したいと思います。 この会員の皆様は名古屋の大先輩の方ばかりです。お前が名古屋を語るな!と怒られそうですがご容赦ください。

私は1992年に当時の名鉄エージェンシーに入社し、4年後に東京支社に異動となりました。東京で働いてみると「名古屋の商売は難しい」、「名古屋は排他的だ」、「名古屋でヒットすれば、全国でヒットする」など、そんな話をよく耳にしました。
名古屋出身(いわゆる東海地方の代名詞としての名古屋)の私は、そういわれても自分自身を含め排他的だと思ったことはありません。
私も何度かその「名古屋」の違和感について考えたことがありますが、やはり「地理的な境界線」があるのではないかと思います。

◆関東地方と関西地方の境界

私は、冒頭お話した通り、豊田市で生まれ育ち、大学時代を関西圏で過ごし、就職して名古屋、東京を経験しました。
名古屋は東京と比べ地理的には大阪が近く、三重県は名古屋から電車で数分にも関わらず関西弁です。
一方、TVや雑誌などメディアは東京の情報が多く入ってくるので、東京に憧れる、東京志向な名古屋の人がたくさん存在します。
さらに生まれてからずっと名古屋から出ない、名古屋が大好きな人も結構います。
関東と関西ではファッションやグルメはもちろん、流行る音楽や「ノリ」も違います。
ご存知の通り、日清食品「どん兵衛」の味の違いの境目も「関ケ原」とか。 ここより東側の愛知県、岐阜県、三重県は東日本仕様、北陸3県を含む西側は西日本仕様のどん兵衛が販売され、やはり味の「境界」がこのエリアにあります。
それぞれの経済や文化の影響を受けた「東京志向型」、「大阪志向型」と「名古屋大好き型」が共存する名古屋エリアは、文化がうまく交差しているのかもしれません。

◆尾張と三河の境界

以前、東京のクライアントに名古屋のマーケットについて、「尾張と三河」という視点でお話をしたら非常に興味を持って聞いていただけました。
私は、冒頭お話した通り、豊田市で生まれ育ったいわゆる「三河生まれ」です。
豊田、刈谷、安城、岡崎といったこの三河エリアはトヨタ自動車をはじめとするトヨタグループ、関連企業の従事者も多く、私の同級生も多く働いています。
彼らは基本、平日は車通勤のため真っ直ぐ家に帰り、家で食事、家でお酒を飲みます。 そして会社の行事や宴会も含め飲み会は土、日にやります。 彼らと会うと、私は一週間飲み続けることになるわけです(笑)。 カレンダーもいわゆる通常の「暦カレンダー」ではなく「トヨタカレンダー」なるものがあり、休みも異なります。

今、時代は「令和」ですが、今年は「廃藩置県」が行われてちょうど150年。もう、150年。いやまだ150年です。
「尾張国」と「三河国」は「境川」を境に分かれており、1876年最終的に「愛知県」へ統合されました。
「三河国」は、統合前は岡崎藩、刈谷藩、拳母藩、西尾藩など10の小藩に分割されていたようです。 その分、ルールがあり、文化が違ったのかもしれません。
メディアや交通機関が発達し、同じ生活圏内となっているため、正確な境界、線引きはありませんが、「食」「文化」「ライフスタイル」「方言」などやはり同じ「名古屋」では語れないことは多いと思います。 「天気予報」もいまだ「尾張地方」「三河地方」です。

◆人が集まるところに「イノベーション」あり

東海3県や愛知県内には、ライフスタイルや幸せの価値感がそれぞれ異なる生活者が共存しています。 彼らをひとくくりに「名古屋マーケット」と表現するため、違和感があるのではないかという持論を展開させていただきました。
もちろん、違和感があるから悪いということではなく、この違和感がこれからの名古屋にとって素晴らしい原動力になるのではないかと考えます。
私が東京にいる時、ある先輩が教えてくれました。
「東京」は、日本全国いや世界各国から人が集まってくる。 世界でいえば、「パリ」や「ニューヨーク」がそうだ。 そこには、人種、言語、価値観、生き方などが異なる世界の人たちが集まり、衝突、容認、融合し、新しいものつまりイノベーションが産まれるのだと。
私は当時、激しく共感をしました。
今後、すぐに名古屋が日本の中心、世界の中心となり、日本中、世界中から人が集まってくるとは考えにくいですが、この狭い名古屋で常に異文化がぶつかり合っている「特殊なエリア」であれば、きっと名古屋からまた素晴らしい「イノベーション」が生まれると思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。

【著者紹介】

会員交流副委員長
電通名鉄コミュニケーションズ
OOHメディア局長

齊戸 俊治(さいと しゅんじ)